糸のまち須坂の歴史を伝え文化をつくる〜旧小田切家住宅〜

明治から昭和の初期にかけて糸のまちとして栄え、現在も多くの歴史的建造物が残る”蔵のまち”須坂。今回ご紹介する「旧小田切家住宅」は、まちの歴史や文化を発信する拠点として、2016年7月にオープンした施設です。株式会社アドイシグロでは誘導サインの制作と施工を担当させていただきました。

旧小田切家住宅について

旧小田切家住宅は実業家の小田切辰之介(1839-1904)によって建てられました。辰之助は、蚕種組合の設立、日本初の製糸結社「東行社」創立に参加するなど、当時まだ家内制手工業としての性格が強かった須高地域の製糸業を近代化するために尽力した人物です。また、須高地域では初めてとなる銀行の設立や水道の敷設など地域の発展にも大きく貢献しました。現在の建物は明治3年須坂騒動の後に建てられたものとされています。昭和の後期には空き家となり長らく使われていない状態が続いていましたが、まちの歴史を語る上でも欠かせない存在であることから、2014年に須坂市が取得、指定文化財となりました。

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約1,300平方メートルの敷地に主屋、店、上店、長屋門、土蔵4棟、水車小屋、庭園が展開する旧小田切家住宅。前を走る大笹街道から見ただけでもその大きさに圧倒されてしまうのですが、主屋の中に足を踏み入れて二度びっくり。茶の間が二間、座敷、奥座敷と隠し扉のあるお納戸、お勝手、台所。畳80畳余りの非常に広いスペースが現れます。「来館された方はまずこの広さ、大きさに驚きますね」と話すのは、施設を管理・運営する一般財団法人 須坂市文化振興事業団の梨本有見さん。施設を使っての各種講座や体験イベントなどの企画・運営をされています。

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誘導サインの製作について

さて、アドイシグロでは今回、誘導サインの製作と現地での施工を担当させていただきました。求められたのは、1.景観を損ねないこと 2.文化財である建物を傷つけないこと。そこから生まれたのが写真のL字型のサインです。(デザイン:中沢デザイン事務所)普段アドイシグロが手掛けるサインに比べると小規模なものですが、実際の施工に当たっては取り付けの場所となる下見板の角度に合わせて木製の土台の高さを調整するなど工夫が必要でした。

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歴史を伝え、文化を発信する場に

2016年7月のオープン後は、かつての姿を知る地域のお年寄りが訪ねて来たり、現代の住宅では珍しくなった畳の部屋でゆっくりと過ごす親子の姿があったりと、地域での交流や憩いの場として定着しつつある旧小田切家住宅。「地域で活動する作家さんの展示会などを企画し、文化サロンのような場所にしてゆけたら」と梨本さんは語ります。

地域の歴史を伝えながら新しい文化を発信していく旧小田切家住宅。アドイシグロでも「ものづくりに力点を置き Signで良い文化をつくる」をテーマとして日々サインづくりに取り組んでいますが、今後も様々な形で地域に新しい文化を生み出すお手伝いができれば幸いです。本日はありがとうございました。

ご紹介させていただいたお客様

一般財団法人 須坂市文化振興事業団 旧小田切家住宅

http://www.culture-suzaka.or.jp/otagiri/